「奈緒ちゃん?

どうしたの?

顔面蒼白よ?」

心配そうに私に近づいてくる佐和子さんに、

「郁人が!郁人の手が動いた!」

私の言葉に佐和子さんは私とは、反対側の郁人の側に駆け寄ると、

私と一緒に必死に郁人を呼び続けた。

すると、

ピクリと動いた郁人の瞼。

だんだん、ゆっくりと開いていく瞳が、

私と佐和子さんを移した瞬間、

私と佐和子さんは涙を流して郁人を抱きしめた。