「郁人、早く目覚ましてよ…
寂しいよ…

郁人、好きだよ、

大好き。

今日も変わらない。

ずっと変わらない。

この気持ちだけは変わらないから、

だから、早く目を覚まして…」

《奈緒。》

そう呼んでよ、

ゆっくりと初めて自分から郁人の唇へとキスを落とした。


何事もなかったのように、

郁人の右手のマッサージをしていると、

ある存在を思い出した私は、
カバンからスポーツショップの袋を取り出して、

郁人の左手に青いリストバンドをつけた。

「これ、昨日やっと見つけたんだ。

大切にしてね、」

そういった時、

ぴくりと動いた郁人の手。

「いく、と?」

ガラリと開いた扉に

目を向けると、佐和子さんが笑顔で立っていて、

けど、私の顔を見た途端顔色を変えた。