「郁人、起きて…。
郁人に伝えたい事があるんだよ…。
郁人早く起きてくれないと怒るよ?
私が郁人がいないと何もできないの一番郁人が知ってるでしょ?
ねぇ、郁人目開けてよ。」
ボロボロ止まらない涙。
私の涙は郁人の手を伝って、
ベッドのシーツを濡らしていく…
「一昨日、一時心肺停止になったけど、
昨日から容態は落ち着いてるんだ。
いつ目を覚ましてもおかしくないって。」
後ろから聞こえる佐和子さんの声。
急いで振り返ると悲しそうに笑っている佐和子さんは、
やつれているように見えて、
私は、郁人の手を離して
立ち上がると
「ごめんなさい。
私のせいで郁人がこんな目になっちゃってごめんなさい。」
涙を流して頭をさげる私は
なんて卑怯なんだろ。
涙止まれ。
いくらそう思っても止まらない涙。


