怒りで突き落とされるかもしれないと言う事も考えられなかった私は
予想もしていなかった事に、
頭が真っ白になる。
私と美咲ちゃんの身長差は10センチ以上。
私を突き落とす事なんて簡単だ…
ぐらりと傾く視界の中、
押された反動で後ろへと一歩一歩下がる足。
だけど、
私の左足は宙を切って…
落ちる、
そう思った時、
宙を切った私の赤いリストバンドがついた腕を掴んだ筋肉質の青いリストバンドがついた腕
ぐいっと引っ張られた私は簡単に、
引っ張られた方へと動いていた。
ぎゅっと抱きしめられる暖かい愛しい人の温もり。
包まれた優しさと力強さに、
久しぶりに抱きしめられた嬉しさに
また、助けられた事の不甲斐なさに、
いつだって私だけのヒーローの郁人に
愛しさと嬉しさがこみ上げて…
それが涙となって私の頬を伝った。


