泣き虫とヒーロー ~約束の四つ葉のクローバー~




郁人が大好きだったサッカーを奪った私。

郁人は同情で私といるんじゃないか。

そう思うのも、

関係を崩したくないもう1つの理由だ。


「…お…なお…奈緒!」

ハッとして顔を上げると心配そうに私を覗き込む郁人。

「え、あ、なに?」

首をかしげながら聞くと、

「大丈夫か?
お前、ぼーっとしてたぞ?」

心配そうに私を見つめる瞳。

そんな瞳には無理矢理笑った私の顔が映っていた。

そして、

「大丈夫だよ。」

そう言うと、

怪訝そうな顔をした郁人は

しばらく私を静かに見つめる。

私は笑顔を貫き通すと

諦めたようにため息をついた郁人は私の頭をポンと撫でると、

「何かあったら言えよ。」

とぶっきらぼうに横目を私に向けて言ってきた。

そんな郁人に笑って私はうんと頷いた。