何故だろう。
痛くても涙なんて出なかったのに…
郁人のことではこんなに弱くなっている私がいる。
もしも願いが叶うなら、
郁人に私の思いが届いて欲しかった。
届いて、
前みたいに当たり前のように一緒に眠って、
一緒に起きて、
皆でお弁当を食べて
部活がOFFの日は皆とか二人で遊びに行ったり、
そんな当たり前だった頃に戻りたかった。
もしも、
郁人に
『奈緒は好きなやついんの?』
と聞かれたとき、
『郁人だよ。』
そう答えていたら
今郁人は私の隣で笑ってくれていた?
美咲ちゃんの方に行かないでくれた?
もしもあの時、出て行ってなんて、
突き放したりなんてしなかったら
郁人は私が起きた時
《奈緒、大丈夫か?》
そう言ってくれてたのかな。


