呆然と立ち尽くす私。
遠くの方で一時間目開始のチャイムが鳴り響いた。
シーンと静まり返った廊下にたった一人の私。
途端に、鋭く痛み始めた小学生の頃に負傷した右足の膝。
「…っぐっ…」
最近負担をかけすぎたか。
座り込んだ私は、痛みに唇を噛み締めてただただ、
痛みが終わるのを待っていた。
いつもなら、郁人が痛み止めの薬を飲ましてくれて、
私を抱えて家へと送ってくれていた。
けど、
もう、郁人は美咲ちゃんの隣だ。
どんどんと痛くなっていく膝に
冷や汗と、目眩さえしてきたとき、
「だから、目が離せねぇんだよ。」
辛そうな郁人の声に顔を上げると同時に
抱き上げられた私の体。


