初めての告白がこんな形になるなんて思っていなかったけど、
ゆっくりと振り返った郁人の表情が
今にも泣きそうな切ない笑顔で
私は堪えきれずに涙を流した。
けど、涙を拭って、
「郁人、おいで?」
ゆっくりと腕を広げた私に
郁人はゆっくりと私の方へと歩み寄ってきてくれた。
ゆっくりと、
あと少し、
という所で
「郁人せんぱーい!」
甲高い声が廊下に響き渡った。
郁人の背中に飛びついた、
美咲ちゃん。
少しだけよろけた郁人は
ハッとした表情になると
すぐに美咲ちゃんの方へと振り返った。
そして、
私に見向きもせずに、
美咲ちゃんと、
教室と反対の方へと歩いて行ってしまった。
郁人の腕に自分の腕を絡まらせて
幸せそうに寄り添う美咲ちゃんに、
涙さえ枯れてしまった私は、
どうすればいいんだろうか。


