本当は、放っておいたほうがいいのかもしれない。
けど、そんな事したくない。
今、放っておいたらきっと郁人は壊れてしまう。
きっと、郁人はもっと自分を傷つける事になってしまう。
郁人に言われて傷つかなかったわけじゃない。
だけど、
私の手を振り払った時に悲しそうに瞳を揺らしたのを見て、放っておけたら
きっと私はもう郁人を想っていない。
勉強も運動も得意なくせに
料理だけが苦手な郁人も
私は大好きだから。
何年、郁人といると思ってるの。
何年、郁人を想ってると思っているの。
でも、
でも、
郁人の背中が見えた時、
私は叫んだ。
人がいるのは重々承知だ。
だけど、
今言わなきゃ、後悔する。


