ファーストキスが、大人のキス。 そんなことってあるのかな。 けど、相手が郁人ならなんでもいい。 私はなんの涙なのかわからない涙を流しながら 慣れている郁人のキスにただただ合わせていた。 しばらくしてキスが終わると、 私と郁人は静かに見つめあった。 郁人は切なそうに笑うと、 「ごめんな。 奈緒幸せになれよ。」 そういうとゆっくりと私に背中を向けて歩き出した。 腰が抜けた私はその場にぺたんと座り込んだまま 去っていく郁人の後ろ姿を涙を流しながら ただただ、見つめていた。