「瀬山は、席替えでね

奈緒と隣になるために奈緒と隣になった男子と交換してたんだよ。

もちろん、その中で嫌だって言ってる人もいたけど

奢るとか、モノで釣ったりしてたんだよ、
バカだよね。」

クスリと笑った麻友の言葉に

言葉が出てこない。

「それにね?

クラスだって二年連続同じ理由なのも、
瀬山って特等生でしょ?
だから、理事長に頼んだんだって、

奈緒と同じクラスじゃなきゃ俺は転校します。って、

あいつ頭いいでしょ?
それも、奈緒に勉強を教えるために頑張ってたんだって。

春樹が言ってた。

それにね、朝だって私が学校に着いた時には

瀬山は手を真っ赤にしながら雑巾で必死に机を拭いてたの。

朝練は?って聞いても

奈緒が傷つくくらいなら休んででも消す。って

まぁ、さすがに瀬山でも上靴にカッターの刃をつけられてるなんて気付かなかったんだろうけどね。」

と切なく笑う麻友は、

私の怪我した手を持って