怖くなって後ずさろうとするが、
強く掴まれた肩が、
ピクリともしない。
「はな、してくだ、さい。」
震える声で必死に訴える。
けど、
「おぉっ!声も可愛いじゃん?
どうしたの?1人で来たの?迷子?
泣いてるジャーン。
もしかして振られた?
俺たちと一緒に遊ばない?」
ニヤニヤと金髪の目が開いてるか開いてないのかわからない男の人がマシンガントークで話しかけてきた。
けど、
私の頭の中に響くのは
"もしかして振られた?"
図星すぎて恐怖で止まったはずの涙がまた溢れ出した。
私はその場に座り込んで声を押し殺して
涙を流した。
押し殺した声は嗚咽になって口から零れて、
弱々しく無意識で呼んだ名前は
私の涙の理由の、
「いくとぉっ。」
愛しの彼の名前だった。


