それからバスに乗り、
電車を何度か乗り継いできた場所は、
私達が小さい頃何度も行った
海と、海の近くの大きな水族館。
時刻は10:27
私と郁人は最初に水族館に入った。
何故か、郁人はチケットを持ってて
お金を出すと言っても
「俺が誘ったから気にすんな。」
と私の頭を優しく撫でてくれた。
郁人はずるい。
その笑顔を向けられるとなにも言えなくなるのを知ってるんだ。
私は少しむくれながら
「ありがと。」
と笑いかけた。
そんな私に郁人は少しだけ頬を染めてプイッとして、
おうと小さく返してくれた。
期待しちゃう胸のあたりの服をぎゅっと郁人にばれないように掴んで
水族館の入り口へと足を踏み入れた。


