それから、郁人と2人でまだ塗装されていない道をバス停に向かって歩く。
どちらともなく、
繋いだ手のひらに、
安心感と、切なさが私の胸の中を支配した。
本当は、こんなのダメってわかってる。
美咲ちゃんが傷つくくらいならこの手を離したほうがいいのかもしれない。
だけど、
だけど、
郁人の手から伝わってくる
離さないで。
と言う気持ちが、
伝わってきて、
私は離せずにいた。
砂利道を歩く私と郁人の間は静かで
爽やかな風が私たちの間をすり抜ける。
綺麗な青空。
こんな日は、
「「海行きたいな。」」
どちらともなく重なった声に顔を見合わせて笑いあう。
幸せで、くすぐったくて、
繋いだ手のひらが離れないように強く握り返した。


