どんどん涙が大粒になっていく。
おばあちゃんに会いたかった。
おばあちゃんに大好きって伝えたかった。
郁人、辛いよ。
「奈緒。」
郁人の不安げな声に顔を上げようとすると、
ぎゅっと抱きしめられた体。
いつもと違う郁人にだんだんと不安も大きくなって、
何故か、
“最後なんだよ。,,
そう言われた気がした。
私を抱きしめるのが今日で最後。
私に触れるのが今日で最後
私と過ごすのは今日で最後。
私と出かけるのは今日で最後。
郁人の1つ1つの行動がそう表されている気がして、
17年も一緒にいればわかる。
「郁人は、どこにもいかないよね?」
震える声で郁人のセーターを握りしめて私は郁人を泣きながら見つめた。
郁人は悲しそうに顔を歪めるだけで、
私の問いかけになにも答えてくれなかった。


