しばらく2人で他愛もない話をしていると、
『○×駅〜○×駅〜。』
アナウンスが流れて、ホームに到着した。
無人駅。
郁人は笑って私の腕を引いて出口へと向かう。
その間私の頬には涙が伝っていて、
けど嬉しい涙なら許してよ郁人。
着いた先は私の大好きなおばあちゃんのお墓がある町の最寄り駅。
一昨年、急な病気で亡くなってしまった私の大好きだったおばあちゃん。
あの日から、おばあちゃんの死が受け止められなくて…
私は来れずにいたんだ。
おばあちゃんが亡くなったショックで泣き続けている私の側にはずっと郁人がいてくれた。
おばあちゃんの死の間際に私は会えなかった。
それが、私の一生の後悔だ。
それもあって今まで会いに来れなかった。
私は人の死を甘く見ていた。
まだ、大丈夫。
【奈緒、おばあちゃんに会いに行くよ。】
【遊ぶ約束してるから。】
【奈緒、おばあちゃんが会いたがってたよ。
もう、おばあちゃん危ないんだって…
だから会いに行ってあげよう?】
【うるっさいなぁ、無理。
今日部活だから。
次は行くから、次は。】
いつだってあの言葉を酷く恨む。
だって、
おばあちゃんに次はなかったから…。
ごめんね、おばあちゃん。


