「…は?、
いきなり、もう、…あぁっ!」
いきなり声を出した郁人に思わず顔を上げると同時に
ぎゅっと抱きしめられた体。
ホームで抱きしめられた時よりも強くて、
離したくない。
そう言われているみたいで、
私は目の前の郁人の肩口に口元を埋めて抱きしめ返した。
「ばか、反則。」
耳元で囁かれる言葉がくすぐったくて思わず身を捩ると、
こちょこちょっとされて私はもう限界。
「…やっ!もうっ!
あははっ!もうっ!やだ!だめっ!」
10秒間くらい続けられて終わった後の私は息切れ。
「…ばかいくと。」
ギロリと睨むといたずらが成功した子供の笑顔みたいな表情をしていて、
私は笑いながら許してしまった。


