電車に揺られて2人で並んで座っている。
なんだか、切なくて悲しくて。
私と郁人はずっと手を握っていた。
ゆらゆら揺られて、
車両には何故か私と郁人しかいない。
2人の間に流れる沈黙も苦痛じゃないけど、
何故か、悲しくなる。
嫌な予感が何度も何度も胸をよぎる。
思わず、眉間に皺が寄った時、
「奈緒、笑って。」
そう言って郁人は、私のおでこに1つキスを落とした。
思わず赤面する顔に
してやったり顏の郁人は、
「スキあり。」
と笑うから私も思わず笑っちゃう。
そしたら、
郁人は
「笑ってる方が奈緒は可愛いよ。」
と優しい顔でいってきた。
思わず顔を手で覆って、
「な、な、なに?!」
噛んでしまうのはしょうがない。
だって好きな人にこんなこと言われたら、
もう心臓が壊れそう。
けど、
期待したくない。
嬉しいと思う反面美咲ちゃんの笑顔が脳裏に過ぎった。
けど、今だけは素直になりたい。
今だけは素直になりたいんだ。
私は赤くなった頬を隠さずに郁人を見つめる。
そんな私に首をかしげる郁人。
私は意を決して、
「隙は本当に信じてる人と大好きな人にしか、
見せないよ。」
と、はっきり伝えてからなんとなく恥ずかしくなって目をキョロキョロさせていると、


