ディスオーダーⅡ【短編集】

 しばらくの間、何が起こったのか理解できなくて、僕とクォートは無言のまま呆然と立ち尽くしていた。


「……見たよな? 今の」


 絞り出すように出されたクォートの言葉に、僕は勢いよくうなずくだけで精一杯だった。

 夢か幻を見ているのかと疑うほどに、そこそこ存在感のあった石は一瞬のうちに消えてしまった。姿形はもちろんのこと、残骸として粉々になっているわけでもなかった。

 ──そして、実際にこの区域に近付いてみて、ひとつ気が付いたことがある。

 その区域の地面は……まったくというほど濡れていなかった。まるでそこに透明な壁が隔ててあるかのように、地面に出来た水溜まりはその区域を避けて流れている。

 そのことに気が付いているのか気が付いていないのか、クォートは「もう一回、やってみよう」と言うや否や、今度は地面に落ちている少し大きめの枝を手に取った。

 そして、そのまま雨の降らない区域に投げ入れる。すると少し大きめの枝は、またしてもシュワーっとミストのように消えていってしまった。


「マジかよ……」


 どういう原理なのかは分からないけれど、この区域に投げ入れられたものは消える……?

 周りの雨もその区域には踏み入れられないみたいだし、謎は深まるばかりだ。

 でも、この地面から草木が生えていない理由は、分かったかもしれない。今投げ入れられた石や枝のように、消えてしまっているから……だろう。

 ──それなら、空は?

 僕は空を見上げた。