順番なんてどうでもいいと思った。

目の前にいる女性の肩を抱きしめたいのを、ひたすら我慢していた。



「待っています。どうか足元に気をつけてお帰り下さい」


立ち上がって頭を下げると、彼女はその隙に背中を向けた。

走り去っていく足音を耳だけで聞きながら、後追いしたい気持ちを堪え続けた。



……恋する想いは文字にのせて届ければいい。


それが行き交ううちが、きっと幸せなんだ…と、自分の頭に言い聞かせながらーーー。