恋する想いを文字にのせて…

力説する彼女の話に聞き入った。
子供の頃から集めだしたというレターセットは、今や引き出しいっぱいになっているらしい。


「余りに沢山なものだから、もういい加減にするよう家族に言われて……」


ハッとしたように声を出さなくなった。
唇を手で押さえ、口角を噛みしめている。


言ってはならない言葉を言ったように目を伏せた。

それから、思い直したように瞼を上げた。


「そこにある駅の文具屋さんへ行きましょう?昨日から目をつけてるのがあるんです」


「昨日から?」


「あっ……!」


再び目を丸くして唇を押さえ込んだ。

その様子を見て、まさか…と声に出した。


「来未さん……昨夜からこのホテルに泊まってた…とか?」


俺の言葉に返事をする間もなく、彼女は顔を赤らめた。

ソッポを向くように前に向き直り、小さく首を項垂れた。



「私……待ちきれなくて………」


ますます顔が赤くなっていくのを見ながら、自分と同じ思いでいた彼女を抱きしめたくなった。




(でも、まだ早い。手を出すには、時間が少な過ぎる……)



手のひらを握りしめて我慢した。

大人の男らしく、さり気なく彼女を気遣おうとした。



「…そうだったんですか。実は僕も待ちきれなくて……。昨夜もワクワクした子供みたいに眠れなくて朝を迎えました。お陰で朝から寝不足で、水を浴びて目を覚ましたくらいなんです…」


笑いかけると、彼女は赤い頬をしたままこっちを振り向いた。
36歳には見えない清純さが、彼女の周りに漂っていた。