恋する想いを文字にのせて…

幾らか目が冴えてきたところで準備して出かけた。

待ち合わせのホテルには、自宅から電車で30分ほどで着いた。





(あと1時間か……)


馬鹿だな…と呆れながらホテルの入り口を眺めた。

出て行く者の方が多くて、それらしき人物は見当たらない。


当たり前だよな…と前を見た。

ロビーのカウンター席に座っている人の視線に気づき、ちらり…とそっちへ目を向けた。




カウンターに座っているのは女性だった。

肩よりも少し長めな髪の毛先が綺麗にカールされている。

空色の温かそうなコートを着て、黒いストッキングを履いた足を覗かせていた。


中に着ている服の色は見えなかったけれど、その姿だけで(もしや…)と思った。


カタッ…と立ち上がった自分を見て、相手の目がパッと見開いた。

カウンターの丸椅子を回転させて見えてきた服装は、メール通りのものだった。


まさか…と思いつつ、どちらともなく近寄った。


歩き始めて直ぐに躓きそうになった人を見て、思わず駆け寄りそうになった。


その人は照れ臭そうに足元を直し、ニコッと笑みを浮かべた。


ゆっくりとこちらに向けて歩き出した人と1メートルくらい離れた場所で声を掛け合った。



「最上さん?」
「小野寺様ですか?」


自分の声よりもワントーン高い声に胸が鳴った。

ハッとする顔に近づき、改めて言い直した。


「最上 来未さんですね?初めまして。小野寺 漠です…」