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最上 来未と約束した場所へ着いたのは、指定された時間よりもだいぶ前だった。
チェックアウトに追われる従業員を目で追いながら、ロビーのソファーに腰掛けた。
昨日は珍しく定時に仕事を上がった。
家に帰ってからもなかなか気分が落ち着かず、長々と風呂に入った。
冷凍の枝豆をチンして缶ビールを煽った。
そうしながら、見たこともない女性の顔を想像した。
〈…当日は、グレーのセーターと紺色のスカートでまいります。あまり派手な服装ではないので、見つけにくかったらごめんなさい…〉
3日前に届いたメールを何度も読み返していた。
新たに手に入れた彼女の情報をしっかりと失くさないよう保護した。
(こんなことするのは何年ぶりだっけ…)
液晶画面を見ながら思った。
いつの間にか鼻歌を歌っている自分に気づき、慌てて咳払いをしてごまかした。
実際に彼女に会えることになり、予想以上に嬉しくて仕方なかった。
それが明日へと迫り、ウキウキと気が高ぶってしようがない。
送った手紙の返事はこなかったけれど、代わりに送られてきたこのメールを喜んだ。
独りで勝手にほくそ笑み、そのままの気分で朝を迎えたーーー。
靄の立った早朝から起き出して風呂に入った。
あまり寝付けなかったせいで、頭がボンヤリとしているせいだった。

