恋する想いを文字にのせて…

月が変わり、溜め込んでいた仕事がようやく終わった。

出版社へ電話をすると、小野寺さんは待ってました…とばかりに約束を取りつけた。



「そんなに焦ってどうしたの?お願いってそんなに急ぐこと?」


尋ねる私に「ええ、まあ…」と言葉を濁された。
受話器を下ろしながら、(一体何事なのかしら?)と頭を捻った。



その謎が解明されたのは、小野寺さんがうちへやって来た時ーーーー。




「………えっ?ファンに会って欲しい……?」


「そうなんです!」


鼻息を荒くした小野寺さんは、目を輝かせながら頷いた。


「私の文通相手なんですが、津軽先生の大ファンなんだそうです。是非とも一度、先生にお会いして話をしてみたいらしくて。…実は私もまだ一度も会ったことのない方なんですが、すごく素敵そうな人で……。何とかして願いを叶えてやれないものだろうかと思い、訪ねてきました」



言葉は真剣そうだけれど、顔はすごく照れ臭そうだった。
特別な感じがする人を、私に会わせたい…と願う気持ちが伺えた。



「私は人とお話をするのは好きだから会ってもいいわよ。…でも、貴方がまだ顔も見ていない人といきなり会わされるのはどうもね。先ずは、貴方がその方の人柄を確かめて、それから私のところに連れてらっしゃいな。余程のことがない限り、いつでも歓迎して差し上げる。私の大ファンだと言う人を私も大切にしたいからね…」