恋する想いを文字にのせて…

電話口の向こうで首を傾げる様子が思い浮かんだ。


「だって、私のような古い漫画家の話を見せられたら今の読者が可哀想でしょ。だから先に言ったの。『気の毒に…』と…」


ぽかんとした雰囲気でいるに違いないと思ってた人は、「とんでもない!」と声を発した。


「私はその反対で、『待ってました!』と言われる読者が大勢いると思うんです。もしかしたら往年のファンだけでなく、新しい読者層も開拓できるんじゃないか…と狙っています!」


そんなに熱くならなくても…と言いたくなった。

小野寺という編集者は、作品を幾つか纏めて一冊の本に仕上げてみたい…と語った。


「ビンテージものといった雰囲気で出したらウケると思うんですよ。小さな単行本よりも少し大きめのサイズにして目を引かせて…」


既に絞りこまれているアイデアを聞きたくて家に招いた。

やって来た小野寺さんは家の外観を見ただけで、「漫画の雰囲気そのものですね」…と囁いた。



「私が思い描いていた先生のお宅は、平屋で庭にたくさんの花が植えてあって、垣根は腰くらいの高さで木を組んで作られている…というのでした。このお宅は二階屋ですが、後は思っていた通りの感じです」


縁側の席に招いたからか、小野寺さんはそう言って庭を眺めた。



「心地の良いお庭ですね…」


眩しそうに目を細めている姿がイケ面だった。
やり手そうな顔をした彼は、視線を私たち姉妹に向けた。