恋する想いを文字にのせて…

10代で漫画家になった私を、姉はずっと支え続けてきてくれた。


『津軽 芽衣子』こと「津軽 芽衣(つがる めい)」が私の本名で、アシスタントとしてお手伝い下さる姉の「萌子」( もえこ)から「子」の字を取って付けたペンネーム。

誰にも明かしたことのない秘密。勿論、編集者の多くがそれを知らない。


「あと30分したら始めましょー。それまでちょっと微睡みたい……」


ダラダラ…と仕事をしてる訳ではない。
昔は寝る暇もないくらいに忙しくて、毎日寝不足のままページを仕上げていた。


若い頃たくさん働いたから今はまったりしたい。

それくらいは許してよね〜〜。




微睡みながら、さっき電話をかけてきた相手のことを考えた。

聞いたこともない出版社から一番最初に電話がかかってきたのは1年以上も前。

どこのどなた?と尋ねる姉に、電話の主である小野寺 漠さんはこう言った。



「いきなりお電話を差し上げて申し訳ございません。都内の出版社で編集者をしております小野寺 漠と申します。誠に失礼ですが、漫画家の津軽 芽衣子先生でいらっしゃいますか?」


「違います」


憮然とした声で話す姉の言葉に、ぶぶっと笑いが吹き出そうになった。


「そうでございましたか。あの、では…どなた様でございましょう?」

「宇宙人です」


(クックックッ……)


電話で人をからかうのが好きな姉は、この時も散々小野寺さんをおちょくっていた。