恋する想いを文字にのせて…

「電話、誰だったの?」


コタツの中で亀になってる姉が聞いた。


「出版社の小野寺さんよ。何だか知らないけど、またお願いがあるそうなの。声が弾んでたからお仕事のことじゃないみたいだけど」


もそもそ…とコタツの中に潜り込んだ。

姉と私は2人とも嫁に行かず、(行けずとも言うのかしらね)こうして2人きりで住んで随分になる。


姉の年齢は60代後半。私は来年で還暦を迎える。


「小野寺さんというと、いつだったか芽衣ちゃんの本を出したい…と言ってきた人じゃない⁉︎ 男らしさ満点でイケ面そうな人!」

「そうな人じゃなくて、あーゆうのは間違いなくイケ面だって言うの!スーツが似合いすぎて、近寄り難いくらいのオーラを出しまくってたでしょ〜!」

「その彼がまた会いに来るって言ったの⁉︎ 」

「そっ。今回の原稿が仕上がったら連絡を下さいって」


そう教えながらも仕事場のある部屋へは行こうとしない。

若い時ならともかく、この歳になると寒い目に会うのが何より苦手。
なるべく暖かい部屋の中にいたい。だから、私も姉も一向に仕事が捗らない。


「芽衣ちゃん、お仕事始めなくていいの〜?」

「そう言うお姉さんこそ早く背景描いてよ。ペン入れが進まないでしょ。そっちが先に始めないと、私は他ができないの〜」


似たり寄ったり。

まるで双子のような私と姉は、若い頃から二人三脚で仕事をしていた。