照れくさそうな表情をしながら書いたのではないかと勝手に想像した。

会ったこともない女性なのに、素直な文面からそう思った。



『私の拙い字を褒めて頂きありがとうございます。美しい…と言われるような文字は書いていないつもりですが、言われるとやはり嬉しいものですね。素直に喜びつつ、今回もまた褒めて頂けるよう書こうと努めております。』



努めずとも美しい字であろうに…と思った。

謙遜した文章の中に、彼女の奥ゆかしさを感じた。



『先日、津軽先生のセレクトブックの2冊目を購入することが出来ました。どのお話もまた懐かしいものばかりで、そこはかとない幸せに包まれています。

先生の作品にはどれも、学生時代にはあるようで無かった懐かしさが多く詰め込まれております。

今またそれに触れることができ、一層の喜びと感謝に満ちた日々を送らせて頂いてます。

小野寺様が世に送り出された本は、確実に誰かの心を潤わせているのだと信じられていいと思います。

今後もまた素敵な本を世に出され、広く人々に読み継がれることを願います。

読むことしかできない私ではありますが、お名前を拝見したらこれからも読む機会を持ちたいと考えておりますので。


手短ではありますが、お返事の礼を申し述べようと思い筆を取りました。

これからもご活躍を願って、この辺りで終わりにさせて頂きたいと存じます。


本当にありがとうございました。

どうかお体にだけは気をつけてお過ごしください。


最上 来未 』