最初はついていけない…と思っていた漫画に、いつの間にか浸りきっている。


……何故そんなふうにハマったのか。

それは、描かれている背景描写が懐かしかったせいだ。



田舎町の風景が主だった。

主人公の女子高生が、夏休みを利用して旅した山村の景色。



田んぼの畦道や小川。

小高い丘から見下ろす田園風景。

木造校舎にススキ野原、道端の地蔵倉や藁葺き屋根の家。


どれもこれも「昭和」を物語るには十分すぎるものがあった。


先輩夫婦が気に入るのも分からないではなかった。


自分が学生時代に付き合っていた女子も、もしかしたらこの漫画を読んでいたかもしれない。


この登場人物たちのように、素直に思いを伝えきれず喧嘩した日々も多かったように思う。




…あの頃学生だった同級生たちは今、どこでどんな仕事に就いているだろう。

本の裏に印された自分の名前を目にして、俺のことだと分かっている人は何人いるだろうか。


そんな奴らに、この漫画を読ませてみたいもんだと思った。

男はともかく、同年代の女性にはウケがいいんじゃないのか。



…少なくとも先輩の奥さんは復刻版が出たら買ってくれるだろう。

口が達者だから、きっと周りにも買うよう勧めてくれる筈だ。



…思いきってこの著者に会いに行くのも手だ。

会って人柄を確かめて、じっくり話し込んでみるのもいい。



この漫画と同じ、『昭和』を感じさせてくれる人かどうかーーー。