『お便りありがとう。貴女からの手紙が届いた日は、何故か不思議と仕事が捗るような気がします。

単純だと思われるかもしれませんが、実際のところそうなのです。

この手紙も、仕事が早目に終わったおかげで書くことができました。

貴女に早く言葉を届けたくて、毎日ウズウズしながら生活している証拠です。』



学生時代の自分と同じだと思った。

津軽先生の漫画が早く読みたくて、ウズウズしながら学校での時間を送っていた。


『前回の手紙で、僕が問うた年齢についてのお返事はありませでしたね。やはり女性に年齢を聞いたのは間違いだったか…と、深く反省させられました。

気を悪くされてなければいいが…と案じております。その点だけご容赦願えれば…と思います。』



「気を悪くなんてしてないよぉ…。ただ教えたくないだけ…」


焦らしてる自分が愉快だった。

恋の相手を自在に操ってるかの様な錯覚に陥り、してやったり…と思えてしまった。


『この度のお便りに、貴女からも質問がありましたね。


〈津軽先生の作品で一番最初に何を読まれましたか?〉


何だったろうか…と考えました。

考えた末、あの話ではなかったか…というのが思い当たり、今回はそれについてお話したいと思います。』



私に対する嫌みなのかと思った。

自分が質問に答えるから年齢を教えて欲しい…との意味合いにも受け取れた。