恋する想いを文字にのせて…

ドアを開けると、彼は少しブスけた顔つきで立っていた。

急な呼び出しに、「嫌だけど来ました」的な雰囲気を醸し出している。


「いらっしゃい。待ってたわよ」


紺のお客様用スリッパを差し出して、「どうぞ」と招き入れた。


「お邪魔致します」


軽い会釈をして靴を脱ぐ。
綺麗に磨かれた革靴を初めて見た時、既婚者だと勝手に思い込んでしまった。


「この間と同じ部屋で待っていて。お姉さんを呼んでくるわ」


ドアを指差して奥へと向かった。
和室のコタツの中で亀になっている姉に声をかけ、彼が来たことを伝えた。


「お姉さん、小野寺さん来たわよ」


電話口で叫ぶように怒鳴り散らした後、姉は「草臥れた…」と言ってコタツに潜り込んだ。


「あのクソ真面目な馬鹿者(若者と言いたいらしい)が来たら直ぐに呼びに来て。それまで寝ておくから」


「はいはい。了解」


姉と同じようにコタツの中に入りながら返事をした。

どんな顔をしてやって来るのだろうか…と、ワクワクしながら待っていた。



コンコン!

ドアをノックしてノブを捻った。

開かれたドアの向こうで、彼は窓の外を眺めるようにして立っている。




「いらっしゃい。分からず屋の坊や」


乗っけからケンカ腰の姉を抑えて、座るように…と指差した。