恋する想いを文字にのせて…

ヒーターの温もりを感じたのは、オフィスのある駅に近づいた頃だった。


距離の離れたまま彼女の後ろを歩き、遠目に姿を確認して別れたのは駅前でのこと。


ホームに入ってきた電車に彼女が飛び乗り、それを止めようともしなかった。



出て行く車両の窓から、こっちに向かって頭を下げる最上来未の姿をボンヤリと見送った。




遠去っていく電車が、淡い恋の終わりを告げていた。


あの美しい文字は二度と俺の戦場には届かない。


前置きがあって名前を呼ばれることも、これから先…決してあり得ないのだーー。







(バカだったよ……)



夜更けのオフィス内で、貰った手紙の束を見つめた。

その一枚一枚の封筒の差し出し人名を見て、雪降る中で言われたことを思い出した。


どうして会おうと思ってしまったのか…と、愚かな自分を振り返った。

あれ程多くの文章を日々読んでいるのに、何故彼女が結婚していることに気づかなかったのだろう。


会った時も家族のことを口走りそうになっては止めていたのに、それをそうとは認めたくない気がしていた。


何も知らない顔でいれば済まされる様な気がしていた。


ズルい考えが、自分の心の中を支配し続けていた。




(でも……やはり切られたか………)



手紙を一枚一枚シュレッダーにかけ始める。


思い出を一つ一つ処分しながら、最後に手元に残った封筒を眺めた。