ぼんやりしてた私にその小汚い写真家は問い掛けた。 「なぁ、キレイな物って何な訳?」 突然の質問に私は少し考える。 「空とか自然のものとか……」 私の答えに、男は少し黙った。 ただ、瞳は私を真っ直ぐに捕らえている。切れ長のその目が綺麗だと思った。 「なるほどね。お前の撮る写真、つまんねぇもんな」 なに、こいつ。 出会っていきなり喧嘩売ってる。 そりゃ、プロから見れば素人の写真なんかつまんないかもしれないけど。 わなわなと唇を噛み締める私を知ってか知らずか、男は続ける。