両親が離婚するってことは、パパとママと私が一つの家族じゃなくなるってこと。

もっとも近頃の私達は、家族という肩書の中に居ただけに過ぎないけど。

そう言えばパパとママの喧嘩は日常だったけど、私はいつも蚊帳の外だった。

最後くらいちゃんと参加しようかな。
私も家族の一員として。


私は深く深く息を吸い、虹の光を取り込んだ。

バルコニーから出てリビングに戻る。


まだ重たいままの空気の中に居る両親に、私は静かに声をかけた。


「ママ、パパ。ちょっと良い?」