サンプル~壊れた教室~

 いくら待っても、痛みは襲ってこない。

「え・・・・・・・・・・・?」

 意味が分からず目を開けると、鬼はく

るりと向きを変え校舎へ帰って行った。

 どういうこと?

 その時、ピーンポーンパーンポーン、

と軽快な放送の音が聞こえる。

『1時間たったぞ~!生き残った奴はお

めでとう!しっかり休めよ!第三校舎に

は俺のサンプルが休んでるから近づくな

よ?じゃあ、これからの健闘を祈る!』

 あまりに明るすぎる先生の声に、みん

なきっと不快感しかない。

 だけど私は一瞬だけ先生に感謝した。

 だってきっと、1時間と先生が決めて

なかったら私は死んでいたから。