サンプル~壊れた教室~

 余計なことを考えていたせいか、よそ

見していたせいか、足元にあった段差に

気が付かず、転倒してしまう。

 恐怖と痛みがないまぜになり、血の気

が引いていく。

 その時、30メートル先にいた鬼と鉢

合わせしてしまった人がいた。

 距離は一メートルもないぐらいの近さ。

 日能萌。

「ひっ、嫌!」

 そう叫びながらも逃げようと手足をバ

タバタさせる。だが鬼に髪と手を掴まれ

ていた。

「た、助けてぇぇぇっ!!」

 目を見開きながら、きっと私に懇願し

ている。助けたいけれど、死の恐怖を味

わった私は動けない。