サンプル~壊れた教室~

 そしてしばらくして、秋斗は私たちに

ゆっくり告げた。

「誰か、こっちに来ている。逃げた方が

いいな。少なくともローファーや上履きの

足音じゃない」

 ローファーや上履きじゃないっていう

ことは、鬼?

 みんな同じ考えが浮かんだのだろう。

一気に顔が青ざめていく。

 すると反射神経のいい陽輔はパッと立ち

上がり、あたりを見回す。

 ここは見通しの良い廊下。

 鬼がどれぐらいの速さかは知らないが、

挟み撃ちにされたり見つかったりしたら

ひとたまりの無い。