サンプル~壊れた教室~

「頼む。このイカれた学校の悪事を暴い

てくれ。それから、レオナを、許さない

でくれ・・・」

 私は暴くという頼みにコクコクと頷い

た。

 だけど。

 レオナを許さないでくれという頼みは、

頷けなかった。

 佑は悲しそうに笑って、言った。

「綺月は優しいから、無理だな。でも、

いいと思うよ。加子の時も、他のヤツの

時も、綺月は助けようとしてた。」

 カクカクと震える佑の手をぎゅっと握

りしめる。

「ずっとそうだった。いっつも笑ってる

わけじゃなくて、芯の通った優しさで。

綺月との思い出とか、そういうのあんま

ないけど、遠くから見てて分かった。

やっぱり、綺月は優しくて誰よりも強

くて・・・」

 佑は薄く笑った。

「俺はそういう綺月の性格に、憧れてた

のかもしれないな・・・・」

 そう言って、静かに目を伏せた。

 1ミリも微動だにせず。