【綺月side】

『     拝啓

 みなさん、お元気ですか?私は元気で

す。施設に入れられた最初のうちは、あ

まり笑えなかったけれど、今は他の子た

ちと仲良く暮らしています。

 私は、みんなのことを忘れません。い

つも、近くで見守っていてくれるような

気がしてならないのです。

 もしそうならば、私はみんなの分まで

生きなくてはなりませんね。死にたいっ

て思ったことは何度かあったけど、その

たびに浮かんでくるのはみんなの事です。

 だから私は生きます。命の限り、生き

るつもりです。

 ここからは個人的な話になってしまう

んですが、亜梨朱に伝えたいことがあり

ます。


 あの時、先行ってって言った時、亜梨

朱は私の事目障りだとか言ってましたね。

でも今も、あの時も、亜梨朱は私のこと

そんな風に思ってないと思うんです。こ

れは、憶測に過ぎないけれど。

 あなたからもらった命、とてもとても

大事にします。だから、天国で、飽きず

に私のことを見守っていてください。私

の生きる道を、照らしていてください。

 神威君。

 あなたは最期の最期で、私を独りにさ

せたよね。そのことを私は恨んではない

けれど、でも今でも二人だったらどんな

に良かったかと思います。