「綺月さん、校庭のできるだけ遠くまで

走って。早く」

「何で?神威君も・・・」

 神威君はそう言ったきり先生を無視し

て話し始めた。その目は・・・とても綺

麗で揺らいでいた。

「この学校を、爆破する。そして、この

地に何も残らなかったようにするんだ。

こんなところに、こんな学校を残したら

いけないんだよ。だったら爆破する。

ずっと前、爆弾つくってたんだ」

 そう言って見せてくれたのは、プラス

チックみたいに透明で、中に何か入って

いる小型の爆弾。

「これ・・・・」

「これで、全部を道連れにする。だから

せめて、君には生きてほしいんだ」

 やけに夕日が輝いて見える。

 そんな輝きに負けないぐらい、神威君

の目も輝いている。

「っ、そんなの嫌。私、今度こそ本当に

独りぼっちになっちゃう。そんなの嫌。

そんな結末、望んでなんかない!」

 頑固だ。

 そんな風に神威君がつぶやいた。何

だっていい。独りになんかなりたくない

んだよ。

 神威君は今までの笑みとは違う、本当

に優しい笑みを浮かべた。

「星の元とか、運命だとか、そんな風に

思わないで。この世界は地球儀なんだよ。

まわり方なんか、いつ変わるか分からない」