サンプル~壊れた教室~

「でも、陽輔はもう・・・・。私は生き

る意味はなくなっちゃった。どうせ裏

切ってて人をおとしめて殺したことには

変わりはないんだし、生き残ったってど

うやって生きていけばいいか分からない。

どうすればいいのか分からないの」

 そう言いながら、うずくまった亜梨朱。

 私は何にも言えなかった。陽輔なら、

明るい言葉で元気づけることはできたは

ず。秋斗なら何にも言えなくともただ

黙って寄り添うことはできたはず。

 私は、ただ黙ってうなだれることしか

できなかった。

「あ、あ・・・!あれって、サンプル?」

 亜梨朱は泣きはらしたような目を震わ

せながらで言った。

 そこには、サンプルが、1体だけ。

たったの1体。

「なんで?陽輔たちが止めていたはずな

のに・・・」

 わなわなと震えだす体を亜梨朱は自分で

抱きしめながらも、後ずさらずに立ちすく

んだ。

「たったの1体が、生きてここまで来たん

だ」

 その言葉に亜梨朱は泣き出しそうな顔で

反論した。いや、反発した。

「なんで?たったの1体にあたしたちは負

けたの?陽輔たちは死んだのに、たったの

1体だけが生きているの?そんなの・・・

そんなのおかしいよ!」