サンプル~壊れた教室~

 そう言って、あはははと笑った。

 私達は、こんな奈津知らない。

 明るくて、正しくて、いつも私たちを

引っ張ってくれた奈津じゃない。

「そ、そんなの認めねぇ!俺の方が力は

あるんだからな!」

 そう言うと、連は立ち上がって奈津を

睨んだ。

 でも奈津には、そんな睨み効いてない。

「あっれ?足震えてるよ?私のことが怖


いの?ほらやっぱりチキンじゃん♪」

 そう言うと、何が満足だったんか、急に

笑い転げる奈津。馬鹿にされた連は、雄た

けびをあげて殴りにかかる。

「し、死ねぇぇぇ!!」

「あ、うっける~。死ねって、私のこと?」

 するりと連のパンチを避けて、いつしのば

せていたのかポケットから刃渡り数センチの

ナイフを取り出した。

「あひゃひゃひゃ!私に勝てる?」

「く、くそ!ナイフ使うなんて卑怯だぞ!」

 連は真っ青な顔で立ちすくんでいる。ナイ

フにビビったのかもしれない。

「ね、ねぇ。奈津。も、もういいでしょ?」

 私はこれ以上は危険だと思い、奈津を止めた。

 だけど奈津は、私の忠告なんてどうでもいい

とでも言いたげな口調で私に言う。

「え?何?じゃあさ、私馬鹿にされてていい

の?亜梨朱を悪者にしてもいいの?あんた亜梨

朱の友達じゃなかったけ?」