サンプル~壊れた教室~

 どんだけ言っても聞かないみたい。

「レオナが死んだっていうのに、何あれ」

「腐ってるんじゃない、心も体も」

 そんな風に言う海斗と奈津。

 いつもなら逆らうのが怖いはずなのだ

が、今はもうそんなスクールカーストも

階級も関係ない。ここで絶対の存在を持

つ者は、臨床するものと、先生くらいだ

から。

「みんな、聞いてほしいことがあるの・・・」

 亜梨朱の澄みきったやや小さな声は、

京華たちの笑い声によってかき消される。

「ちょっと、京華たち・・・」

 ちゃんと聞いて、と言おうとしたとこ

ろを、亜梨朱が手で制した。

 あ、りす・・・・?

 私は不思議がりながらも、京華たちに

向かって放とうとした言葉を飲み込んだ。

「聞いて・・・!」

 さっきよりも大きな声で言い放った亜

梨朱の声は、またもやかき消された。私

は打たれ弱いというのか、諦めやすいと

いうのか、がっくりと肩を落として亜梨

朱と神威君に向かって言う。

「もういいよ・・・」

「・・・・・・・・」

 神威君はただにやにやと笑っているだ

けで、何にも言おうとしない。

 その時、亜梨朱がバンッと近くの机を

たたいた。

「聞いて!!!」

「っ・・・・」

 大きな音と怒声にびっくりしたのか、

みんな驚いた顔をして亜梨朱を見た。

「な、何よ・・・・」

 さっきまでうるさいほど騒いでいた京

華が、明らか様に怯えた声で尋ねた。