サンプル~壊れた教室~

「きーづーきーっ!!!」

 大声を出しながら走ってくるのは、

亜梨朱。

 私はさっとハンカチを隠した。

「もう、どこ行ってたのよ!心配したん

だからね!!」

 ごめんね、ともいわせてくれないまま、

神威君が亜梨朱に話を始めてしまった。

「あのさ、話したいことがあるんだけど?」

「へ??私??綺月じゃなくって??」

 亜梨朱は普段あまり接点の無い神威君が

話したいことがあるということに不思議

がった。だけど露骨に嫌っていう顔をしな

いで、でも笑ったりもしない透明な無表情

で答えた。

「何?」

 サッと長い髪を振って、聞き返した。

 まるでこれから、尋問のような質問が

くるとは思わずに。