サンプル~壊れた教室~

「買い換えたとか?」

「あそこだけ?隅だよ?」

「あそこにあるだけ汚したんじゃない

の!?」

 私は早く帰りたくて、半ばキレ気味に

小さな声で怒鳴った。

 すると神威君は肩をすくめて笑った。

「じゃあさ、確かめて見よ?」

 まるで幼い子供みたいに屈託なく

笑って私の手を引く。私は心の中で「嘘

でしょ」と思いながらもつられるがまま

新しいタイルの所まで来てしまった。

「ね、ねぇ。ここ第三校舎だし、先生く

るかもしれないよ?危ないよ。早く戻

ろ?」

 そう言っても神威君は全く動こうとし

ない。ただ新しいタイルに見入ったよう

にじっと見つめている。

 と、神威君がタイルの目の前にかがみ

こんで、何かし始めた。何しているのか

気になって、そっと後ろから覗き込んで

みる。

「ちょ、ちょっと神威君!何やってるの」

「ん~?」

 タイルの周りをガリガリと引っ掻いて

いる。

 何壊そうとしてるの・・・・!

 ダメでしょ!!

 心配そうに見てみても、一向に止める

気配はない。
 
 その時。

 ガコッ・・・ガラガラガラ・・・

 え・・・・!?

 タイルを押してみると、本棚の隣の壁

が音を立てながら開いた。