サンプル~壊れた教室~

「じゃあ先帰ってていいよ?僕一人で入

るから」

「えっ」

 一人じゃ危ないという思いはあったが、

これでも私一応女の子。怖いものは怖い。

サンプルや先生と出くわしたら嫌だし、

第三校舎の中を一人で動き回るなんて、

到底できない。

 さっきは何となく着いたっていうか、

たまたまで何にも考えてなかったからで、

今からは無理!

 そんなこと考えながら、悩んでいたが、

やっぱり無理だと判断して、神威君に告

げた。

「一緒に入る」

「うん。そうこなくっちゃね」

 にこにこ笑った神威君は、早く行こ、

とでも言いたそうに私の制服の裾を引っ

張った。

 ガラガラ・・・

 乾いた音を立てて開いたドアは、幸い

鍵が開いてなく、防犯のブザーが鳴るこ

ともなかった。

 室内はやけにホコリっぽくて、溜まっ

たホコリが太陽の光に照らされている。

「・・・ただの教室だよ?帰ろうよ」

 私は泣き出しそうなのをこらえ、必死

に神威君に縋り付いた。

 一方の神威君は、私の言葉を無視して、

じっと部屋の片隅を見ていた。

「ねぇ、あのタイル・・・変じゃない?」

 言われたところを見てみたら、確かに

変。他のタイルは木製で汚れてて汚いの

に、このタイルだけ新しい木製のタイルに

なっている。