その声は・・・。

「神威君・・・・・・・・」

 パッと後ろを振り返り、顔を確認する。

すると、間違えることの無い笑った顔を

していた。

 ふ、不謹慎・・・・・・・。

 そんなことを考えると、ギュッと強く

抱きしめられた。

 コツン・・・コツン・・・・

 足音が近くで聞こえ、神威君の胸元に

顔をうずくめる。今にでも震え出しそう

な体は、抱きしめられてることによって

何とか持ちこたえている。

 しばらくすると、足音は聞こえなく

なった。

「もう大丈夫」

「ふぅ・・・。あ、ありがとう・・・」

 何だか急に恥ずかしくなって、顔が紅

潮する。

「にしても、あれ、気になんない?」

「え?」

 神威君が指さしたのは、普通の教室・

・・とは程遠いほど、何か浮いた部屋。

立ち入り禁止と書かれており、普段誰も

入れないのだ。そんなこともあり、生徒

から怖がられ、また面白がられ、面白半

分で入った生徒がこっぴどく怒られてい

たのを見たことがある。高橋先生に。

「すっごい気になるんだけど」

「う・・・うん。でも止めとこ?誰か来

たら嫌だし」

 面白半分で入りたいと言ってる神威君

の袖を引っ張って、帰ろうと連呼した。

 神威君は諦めきれないのか、にっこり

笑って私に言った。その目は茶色に輝い

てる。澄みきった新品の、人形みたいに。