サンプル~壊れた教室~

 どことなく明るく言った京華に、玄真は

怒りをむき出しにした。

「おい、ふざけんなっ!テメェが死ね!」

「もう、往生際悪いなぁ~。死んでからで

いいならセックスしてあげるよ?あ、死体と

ヤるとか気持ち悪いんだけどね~」

 クスクスと笑いながら、京華は言った。

 玄真は顔を真っ赤にさせて、ワナワナと

ふるえている。

 だけどそんなことに興味ないのか、姫奈

とレオナは京華にせがんでいた。

「ねぇ、早くしようよ。逃げられちゃ困るし」

「そーだよ。早くしようよぉ」

「もーうるさいなぁ。縛ってるんだから逃げ

られるわけないじゃない。馬鹿なの?」

 フン、と鼻で笑われ、レオナはキュッっと

顔を歪ませた。姫奈は泣き出しそうな顔で

「京華ちゃぁ~ん」と縋り付いている。

 すると先生はパンパンと手を叩いた。

「じゃあ玄真はもらっていくな。じゃーな」

 先生は玄間を軽々と持ち上げて、私たちに

手を振った。担がれている玄真は、この世の

終わりみたいな顔で泣いていた。

 ピシャン

 大きな音を立てて閉めたドアを見ながら、

京華と連は笑いだした。

「あははははっ!玄真うけるー!何あの顔??」

「だよなぁー!世界の終わりっていう顔してや

がる。真、死ぬんだろうけどなっ!」

「本当の事言ったら可哀想じゃん!私らって優し

いね~!」

 やけに乾いた教室の中で、笑い声が響いた。