サンプル~壊れた教室~

 死にたくて死んだわけじゃない。だか

ら私は、死んでいった者たちの思いを少

しでも継がなければならない。

「・・・・・・・・こんなところじゃ終わ

れない。そうでしょ、陽輔」

「ああ」

「だったら、犠牲とかじゃなくって、戦っ

て生きなきゃ。本来、生きるってるのは誰

かを犠牲にして道を作るものじゃないから」

 たとえ優しさが甘さになって、信じる気

持ちが裏目に出て裏切られても。

「・・・・・・・・」

 陽輔はもう何も言わなかった。ただ黙っ

て目を閉じていた。

 手に持ったカッターナイフの重みを感じ

ながら、そっと右手の薬指にあてた。グッ

と奥歯を噛みしめて、切ろうとしたその時。

 ピロリン♪

「え?あ、携帯か・・・・」

 私の携帯のメールの着信音が鳴った。

「ったく・・・・・え?」

 その内容は、母からだった。

『臨時のキャンプって連絡来たわ~☆楽しん

でね♪じゃ~ね~❤』

 何でキャンプに行くってことになってるの?

まさか、先生が?いや、今はそんなことどう

でもいい。とにかく、親に電話してもキャン

プっていう名目になってるってわけか・・・。

 抜け出すための小さな穴がふさがれた気が

した。

 グッと拳を握りしめる。

 元々先生は親の信頼が厚い。だからこんな

ことになってるなんて言っても信じてくれな

いだろう。