サンプル~壊れた教室~

「・・・・・・・陽輔、亜梨朱、秋斗」

 考えることを放棄して、逃げることを

選んだ。

「ん?なぁに、綺月?」

 そんな私を許さなくったっていい。

「どうした?」

 だけどどうか、責めないで。

「何だ?」

 そして、こんな私を見捨てないで。

 変わり始めた私を、どうか・・・・・。

「・・・・・・・ごめんっ」

 揺らさないで。

 そう言って、私は廊下に出た。

 今までそこまで走ったことの無い廊下を、

全速力で走った。

 息が切れて、肺が圧迫されて、心臓が飛

びだそうになっても。それでも走った。

 変わった私を振り切るみたいに、風と一

緒に走った。

 景色は校庭に移る。

「はぁはぁはぁ・・・きゃあ!」

 その時、足元に何か硬いものが当たる感

覚を感じ、その次の瞬間、体がふわりと

舞った。そんなのは一瞬。痛みが襲ってく

る。

 じわじわと赤い血が地面の砂とまじって

黒くなる。

 なぜかくつくつと涙がこみ上げてくる。

 どんなに人が変わっても、変わること

の無い透明な涙が。